奈良市学園前、昭和後期の経済成長を支えてきた元鮮魚屋をリノベーション。
長年インテリア業に携わってきた店主によるこだわりの椅子が並ぶショールームに、より多くの人々に立ち寄っていただきたいとの想いから手軽に楽しめるドーナツ店を併設。
お店をつくるにあたって一番に大切にしたことは、鮮魚屋時代の街の活気と記憶の継承、そして街と人に優しい緩やかなイノベーションである。
平面計画では、2間×4間のわずか8坪の内部空間にドーナツのための最小限のキッチンとカウンターを配置し、残りを国産木工椅子のための展示空間として最大限確保した。
2面ファサードの角地立地を活かして、既存出入口をそれぞれドーナツ販売用と椅子展示用のファサードとして整理した。
鮮魚屋時代に水勾配のついていた室内の土間は、椅子屋として機能させるためフラットな床に改修。その結果生じた内土間にモルタルスペーサーをピンコロ石風に敷き詰め、テイクアウトエリアの半外的意味合いを持たせた。
インテリアデザインは木工椅子が映えることを念頭において、既存の100角タイルを手掛かりに白を基調とした新鮮で爽やかな内装にまとめ、その中に鮮魚屋時代のオマージュとしてステンレス素材を随所に取り入れた。
キチ・アーキにとって裏・学園前エリアで「キチ」「蒼星食堂」に続く3店舗目の設計となった。ドーナツをテイクアウトし「キチ」や周辺のカフェを訪ねドーナツとコーヒーを楽しむ新しい流れが生まれはじめている。それぞれの点は小さいけれど、このような自然で自由な繋がり合いが街の体験を豊かにしていく。


Y字路に面し、2面のファサードを持つ「椅子とドーナツ」





モルタルスペーサーを敷き詰めた内土間



引き違い戸の鍵は穴を開けて棒を挿し込むだけのシンプルなかんぬきに


ステンレス板を張った商品棚はステンワイヤーで支持して商品が映えるように

既存の押入は「暗」の展示スペースとして活用

新設壁と既存壁(タイル)のコンポジション





既存階段を活用した互い違い階段(施主によるDIY施工)


学園前・給水塔の麓に灯る「椅子とドーナツ」

設計監理
:キチ・アーキ 亀岡史郎
ロゴデザイン
:カミヒコーキ
施工
:中嶋工務店
照明計画
:DAIKO TACT 國分頼明
写真
:カミヒコーキ、キチ・アーキ

Before

After

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After

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After
